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子育てしながらWEB制作をやろうと考えている方へ。体験者が語る、ベストな方法と必要な準備(結論:かなりしんどい)

WEB制作は、とりあえずパソコンがあればできるので、低コストで始めることができます。
コロナ渦で、副業でプログラミングやデザインを始める人も多く、ちょっとブームになったりしていますね。

自分も副業を始めましたが、もともとWEB制作を始めたのは10年前、まだ独身の頃です。
もともとIT業界にいて、この仕事が向いてそうだと思ったので、勇気を出して会社をやめ、職業訓練校で学び、アルバイトや派遣で実務をこなす中で実力を磨いてきた…という経緯があります。
実務経験5年で子育てに突入しました。

WEB開発と比べてWEB制作は敷居が低く、学習コストも少ないと言われることが多いので、「HTMLやCSSなら簡単だよ」みたいな感じで勧められた人もいるかもしれません。
しかし、異業種で活躍していた方が、子育てしながらいきなり収入を得られるほど簡単ではないのも事実です。

今回書きたいのは、「子育てしながらWEB制作を始めようと思うんだけど…」という人に向けて、
自分の体験と、これがきっとベストだという方法をお伝えします。

主に初心者向けの記事ですが、自分の体験談も入ってますので、経験者も参考になると思います。

隙間時間でWEB制作はできない。できるとしたらパーツ制作

最初に私が伝えたいのは、「子育てをしながら仕事をする」のは、思った以上に困難だということです。
PCがあればいつでもどこでもできるので、「WEB制作は隙間時間でできる」と思われているかもしれませんが、
結論言うと、WEB制作は隙間時間ではできません。

100歩譲って、デザイン自体はできるかもしれませんが(クオリティがどうかは別の問題として)
HTML、CSS、プログラミングは、「PCがあればどこでもできる」けれど、「隙間時間でできる」わけではありません。

また、WEB制作の作業の流れとして、大きく「デザイン」「コーディング(JavaScript含む)」「WordPress導入」などがありますが、
細かく言えば、それ以外にもバナーや動画などの「パーツ・素材制作」などがあります。(今回の記事では、WEBマーケティングとディレクションは除きます。純粋に制作段階の話です。)

これらのうち、何をやるかによっても難易度や時間の使い方が違います。

ではどんなことなら仕事として請け負っても大丈夫そうか?と考えたところ、ポイントとしては下記のようになりました。

バナー広告画像などのパーツ制作だったら、仕事として請け負うのはあり

低単価ではありますが、時間の使い方を考えた時に、初心者でもギリギリ可能かと思われるのがこの作業です。

デザインというのは、そもそも「ここまでやったら完成」というのがコーディングなどと比べて明確ではないので、
最悪「終わらない」ということが起こりにくいです。

また、パーツ制作なら完成までにかける時間が少なくて済みます。
子供が小さいうちはまとまった時間が得られにくく、赤ちゃんのころは10分たりともPCの前に座り続けることができません。
その5分や10分を1日のなかで合わせたら、もしかしたら1時間や2時間になるかもしれませんが、コーディングなどコードを書く仕事をするためには、集中して続けられるということがとにかく重要です。

しかし、パーツ制作なら、細切れの時間でも確実に進めることができます。
PCの前にいない間も考える作業を続けられるし、ちょっと時間を置いて改めて見てみることも、画像を作る上で必要だからです。

HTMLコーディングは仕事ではやらない方がいい

仕事としてコーディングを子育て中にやるのはお勧めしません。
これは、初心者でなくてもです。

私は、コーディング特化型(+WordPressなど、デザイン以降の作業)の制作者として、5年間実務経験を積んだ上で子育てに突入し、その間も仕事をやろうとしていました。

…が、それでもかなりきつかったです。
もし子供が2人以上いたり、初心者だったら、まず無理だっただろうと思います。

仕事をくれた人が元々の知り合いで、理解しサポートしてくれたことや、
休日に家族に子供をまるまる1日預かってもらうなどしてやっと仕上げられたレベルでした。

最初のほうにも書きましたが、コーディングやWordPressは隙間時間でやる作業ではないのです。
理由は下記です。

  • 作業に集中力を必要とする
  • ハマった時に思わぬ時間ロスをくらう
  • 完成形がはっきりしている
作業に集中力を必要とする

コーディングには集中してできるだけのまとまった時間が必要です。

たとえば、5分や10分で赤ちゃんに呼ばれて、15分後にまたPCの前に戻ってきたとしましょう。
前に何をやってたか思い出すところからになります。

画面いっぱいのコードを読んで、「あ、たしかこのimgタグのsrcを書いてたんだった…」と思い出す作業。
これを何度も繰り返すとストレスになるばかりか、仕事が進みません。

デザインとは違って、手を動かしていない間は完全に作業ストップとなります。

ハマった時に思わぬ時間ロスをくらう

また、初心者の場合は、コードが思った通りに動かない場面に何度も出くわすと思います。
初心者のうちはデバッグの方法もよく知らないし、解決に1時間、2時間かかることも珍しくありません。
気づいたら丸々1日費やすこともあります。

HTML、CSSでもそうですが、JavaScriptが絡んでくると、もう一人では無理な場合もあります。
初心者のうちは、これがあるので本当に時間が読めないです。子育て中にこの沼にハマってしまったら、想像するだけでもゾッとします。

完成形がはっきりしている

コーディングは完成形がはっきりしていることも、オススメしない理由です。
とにかく完成させて、あとから肉付け…みたいなやり方がほとんどできません。
時間内にどれだけ頑張っても、「終わらない」「しめきり間に合わない」ということが起こり得ます。

デザインは、デザインソフトをどれだけ使えるかによる

先ほど、パーツ制作程度の画像作成なら、隙間時間でもできると書きました。
ではWEBデザインはどうかというと、「ソフトをどれだけ使えるかによる」というのが分かれ目だと思います。

デザインのスピードにダイレクトにかかわるのは、手を動かして仕上げる作業です。
センスやデザイン力があっても、デザインソフトでそれを作るのに時間がかかると、「終わらない」ということになります。

人によってクオリティの差はあるかもしれませんが、手を動かすことができると
とりあえず「仕上がった」状態には持っていけます。

ソフトが満足に使えない間は、完成までの時間が読みにくいのでおすすめしません。
「この画像を丸くくり抜きたいんだけど、どうするのだろう…」というのに時間を割いてると、
コーディングでハマってるのと同じような時間のロスになります。

もちろん、ハマって調べている時間は無駄ではなく、それを繰り返して実力になっていくのですが、
子育て中の限られた時間にそれをやるのは酷だということです。

子育て中は仕事をせず「勉強期間」と割り切るのがベスト

身も蓋もない言い方ですが、子育て中は仕事をするのではなく、ひたすら勉強をするのが一番良く、ためになります。
未経験の方ならなおさら、収入を得ずにひたすらインプットとアウトプットを繰り返すことを強く勧めます。

もし未経験で会社員としてWEB制作を始めた場合も、1〜2年はほとんど会社の売り上げに貢献できていないと思います。
それだけ、WEB制作は勉強することが多いし、収入につなげるのに知識を要します。

勉強するだけなら、そのあいだに何度席を離れようが、どれだけの時間を勉強・家事育児に当てようが自由です。

私は妊娠中に、PCで育児日記がつけられるWEBアプリを作りました。

それ以降も育児日記をつけるなかで、毎日サムネイル画像を作って画像ソフトを使ったり、たまに育児日記アプリをバージョンアップしてみたり
とにかく隙間時間を使って新しい技術を調べたり試したりしました。
子供に関することだとエネルギーも出てきます。

この期間にやったことが、仕事に復帰したあともかなり効いたと思っています。

WEB制作に必要な知識は多く、終わりはありません。
自分はデザイナー志望だからコーディングの勉強はいらないとか、
自分はコーダーだからデザインのことを知らなくてもいいということもありません。

確かにそれでもやっていけますが、どちらの知識もある人と比べると、デザインやコーディングの質に差が出ます。
プロはどちらの知識も持っています。
そういう意味では、2年3年、無収入で勉強に時間を使ったとしても、全く無駄ではないです。

そもそも子育ての忙しい期間に仕事をするというのは、体力的にも精神的にも本当にキツイです。
時間のくくりがないのならなおさらです。
ちょっとパートに働きに出るのとはわけが違います。

自分の裁量で時間をコントロールして、「いつまでにこれを終わらせないといけない」というプレッシャーと戦い、
上の空で赤ちゃんを抱っこしたり子供の相手をするのは、それだけで辛いものがあります。

どれだけ頑張ってもできなかった場合、周りに迷惑をかける上自分を責めるしかなく
精神的にかなり削られる…

仕事としてやると、いろんなものを犠牲にした上にやっと、仕事分の収入を得られるだけです。

自分の精神的な苦痛やそれに伴う周りへの影響と、それを犠牲にして得られるものは、果たして釣り合っているのでしょうか?

勉強時間にしてしまえば、時間を有効に使うことができるし、やったことは無駄にはなりません。
その間収入がなくても、後になって返ってくる可能性は高いです。

どうしても仕事をしたいなら、自分が子育ての最後の受け皿にならないことが最重要

それでも、どうしても子育てしながら収入を得たいという人、
もしくは、WEB制作経験者の方は、どうにかしたらできるんじゃないか…と思うかもしれません。

私は先にも書いた通り、実務経験5年だったので、作業でハマるということがほぼなく
時間も読みやすいので、大丈夫だろうと思って仕事をすることにしました。

そしてやってみて、仕事をするにはこれが絶対条件だと思ったことがあります。
それが、「自分が子育ての最後の受け皿にならないこと」です。

具体的にはこの2点です。

  1. 旦那さんや周りの人に、自分と同じ程度の責任を負ってもらうようにする
  2. どうしても無理な場合に、公共の手段も検討し、周りの理解も取っておく

以下、詳しく書いていきます。

1、旦那さんや周りの人に、自分と同じ程度の責任を負ってもらうようにする

子供が小さいうちは、たとえ10分でもほったらかしにはできません。
泣いてるのを無視して放置したり、無理やり泣き止ませることも、言うことを聞かせることもできません。

子供は常に誰かがそばで見ている必要があります。
その役割を、多くの人は身内に任せることになりますが、任せる時に中途半端な気持ちでやってもらうのでは、どうしても不安が残ります。

「この日は仕事があるので子供を見て欲しい」とこちらが頼む立場にあると、
「その日は無理です」と断られた時や、急に「やっぱり明日無理になった」と言われた時にどうしようもなくなってしまいます。

断られ、自分に仕事があっても、子供を見る人は絶対に必要です。
クライアントに「明日、子供を見てくれる人がいなくて、仕事が出来なくなったのでちょっと伸ばしていただけませんか?」とも言えません。

「子供は誰かが見ていなければならない」
この絶対条件があるからこそ、多くの家庭では、最終的に誰かが子供の面倒を見れるような体制を整えています。
時短で残業なしの職場で働いたり、保育園という絶対に断られない預け場所を確保したりして、口約束だけではなく確実に誰かが見てくれる、または自分が見れるよう時間を作っています。

子育て中に仕事をするなら、このレベルの体制を整える必要があります。
つまり、自分が仕事をしている間に見てくれる予定の人に、急に別の予定が入ってしまっても、
その人が代わりに見てくれる人を探してくれるくらいの責任をもってもらうことが重要なのです。

子供をお願いした人が、「その日空いてるから、暇な時に子供みてるわ」とか、「子供がぐずるから、外出早めに切り上げて帰ってきてしまった」というような感じでは、仕事をするのは正直難しいです。

自分が仕事をすることを前向きにとらえてくれて、「子育てを助けてあげる」ではなく「責任を持って進んで協力」してくれる人が周りにいれば、プレッシャーはかなり減り、仕事ができる余地もあります。

2、どうしても無理な場合に、公共の手段も検討し、周りの理解も取っておく

それでもどうしても無理な場合もあります。周りにだれも子供を見てくれる人が見つからない場合、
子供を見てもらえる公共のサービスを頼るという方法があります。
市町村がやっている有料のサービスがあったりするので、調べておくことをお勧めします。

これらのサービスに頼るのは最後の手段です。そんなに手軽に利用できるものでもありません。
子供を身内以外の人に任せるのはかなり勇気がいるし、できればとりたくない手段かもしれませんが、
本当にどうしてもダメだった場合に、「お金を払えば確実に見てもらえる」最後の受け皿があるというだけで、プレッシャーから解放されます。

周りの人に、「誰も見てくれる人がいない場合は、このサービスを使います」と了解をとっておくことも重要です。
何もしないでいると、「最後はきっと母親が面倒をみる」と心のどこかで思われている可能性は高いです。自分と同じ責任を負ってもらうことはできません。
どうしてもだめだった場合は公共のサービスを利用すると言っておくことで、本気であることをわかってもらえるはずです。

まとめ

個人的には、WEB制作を請け負うのに必要な「まとまった」時間は、2時間でも少ないです。

この条件でギリギリ可能でした。

  • 実務経験5年
  • 仕事をくれた人が知り合いで状況を理解してくれていた
  • 土日に1日中時間をつくってもらった
  • その土日に合わせて、ディレクターにスケジュールを組んでもらった

それでもまだプレッシャーがありました。

じゃあ、一般的には不可能なのか?隙間時間を使ってWEB制作はできないのか?というと、絶対に無理だと言いたくない自分もいました。

なんとかWEB制作で収入を得たい場合に、どうしたら良いのかと考えたところ、
自分の経験と反省を踏まえ、絶対に必要だと思ったのが「自分が子育ての最後の受け皿にならないこと」でした。

何度も言いますが、子供を育てながら仕事をするのは本当に大変です。
時間や精神を犠牲にしたにも関わらず、「子育てしながらWEB制作で稼げます」みたいなことを言う人が何人も出てきたら
「誰でもできる」というイメージが世の中に浸透してしまうのではないか。
そんな不安があって、この記事を書きました。

正直言うと、子供が小さいうちは働かない(勉強に徹する)ほうがいいと思います。
それでもやりたい場合は、本気で助けてくれる人が必要です。

少子化のこの時代に、安定した気持ちで子育てができる家庭が増えて欲しいと思います。

また、WEB制作はPCがあればいつでもどこでもできますが、子育てと並行してやるにはそれ相応の時間と家庭環境が必要であることを、
WEB制作者だけでなく、広くたくさんの人に知ってもらえればと思います。

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